古くから伝わる会津絵ろうそく。人の手でひとつひとつ丁寧な作業から作り出される伝統工芸品の一つです。
冬、花のない会津では絵ろうそくを仏壇へ手向け、祖霊をなぐさめたといわれます。
様々な絵柄があります。（約15cm）

会津絵ろうそくの歴史は古く、室町時代中期に領主が、漆樹の栽培を奨励し、漆の樹液から漆器、実からはろうそくが作られるようになりました。
織田信長にも名馬3頭・ろうそく1000挺を献上すると『信長公記』に記載があることから、贈答品として利用されていたことがわかります。まだこのころは、絵は描かれていませんでした。
安土桃山時代の武将である蒲生氏郷が豊臣秀吉の命を受けて会津の領主となると、近江より蝋燭職人を呼び寄せて品質の良いものが作られるようになり、花の絵が描かれるようになったといわれています。
このおかげで、会津絵ろうそくは、貴重なろうそくの中でも珍重されようになり、江戸時代には最高級品として、参勤交代の度に江戸に持参され、公家へ献上したり、諸国大名へ売られたりし、仏事や婚礼などの冠婚葬祭用として使われました。

現在では、挙式と披露宴を家で行うことはずいぶん減りましたが、「華燭の典」は婚礼ではなむけの言葉として今でもたびたび使用されています。
昭和天皇が会津に行幸された際には会津絵ろうそくが贈られました。